旅からおもう5 [NEW]
OKではないOKマークとはいったい... 中国 杭州のどこかのみやげ物屋にて
少し前のことです。普段のしぐさで、思っていることを伝えることができない。すると、外国人と対する時、もしかしたらちょっとした動作で、誤ったメッセージを伝えることになるのかもしれない、ということだと、そこで理解しました。
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旅からおもう5
親指と人差し指で輪を作る。これはOKマークです。しかし、OKという意味ではなかったのです。少し前のことですが、中国の杭州の湖の近くの土産物屋で、電池で動くおもちゃのパンダを買ったときに、日本の当たり前がそうでないことを知りました。
ティッシュの箱を二つ重ねたほどの大きさのパンダは、ガラス・ケースの中に置かれていました。そのパンダが欲しくなって、店員さんにガラス・ケースから一つ出してもらいました。ガラス・ケースから取り出されたパンダは、お試し用の電池二本を腹に入れられ、トンとケースの上に置かれます。そして、腹の真ん中にある黒いスイッチをオンにすると、そのパンダは足を交互に滑らせながら、ウイウイと音を発しつつ、するすると前に進みだしました。お姉さんは、どうだといった笑みを浮かべ「きちんと動きますね。壊れてはいませんよ。そんなモノを売るような店はあるかもしれませんが、当然ここは違いますから」と言わんばかりに、すっとこちらを見ました。
目の前で動くパンダを見せられたら、文句などはありません。これでOKですよと言う意思表示として、親指と人差し指で輪を作って、OKマークをお姉さんにグイと突き出しました。お姉さんは、おお?という表情のあと、うれしそうな顔をして、さらに二つのパンダを取り出してガラス・ケースの上に並べたのです。三体がきちんと並んでいます。おや?思っていると、別のパンダに電池を入れて動かしてくれました。ちゃんと動きますね、はい。
しかし、三体は買いません。手を目の前で振って、「ちがいますよ」とメッセージを送りながら、人差し指を一本立てました。お姉さんは少しがっかりした様子で、二体のパンダをガラス・ケースに戻しました。続いてお姉さんは、「一体でいいんですね?」という風に手でパンダの頭をポンポンとたたいたので、これでいいですとOKマークを見せました。おや?という顔をしたお姉さんは、またケースから二体を取り出して並べました。こちらも、おや?という感じです。なぜ三体出すのだろう。ひとつでいいです、三つなどとは言っていませんよ。はてどうしたものか… ああ、わかりました。OKマークはOKではなく、数字の三を表すものなのです。だから、OKマークを作ると三体のパンダになってしまう。今度は人差し指で一を作って、そのまま「うんうん」とうなずき通して、一体のパンダを買うことができました。
OKマークは、OKだという意味ではない、 自分の常識は他人の常識ではないということを学び、それから後の旅行では、この基本事項を気に留めながら街歩きをするように、なったような気がします。
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